バランスを崩した楢の木

今、飛騨の山々では異変が起こっています。
古川の街中では まだ目立った様子はないのですが 
少し山に入るとまるで紅葉が終わったときのような異様な景色、
楢の木が枯れ始めているのです。

この現象はナラ枯れといわれるそうですが 
5ミリくらいの小さな昆虫によるものだそうです。

カシノナガキクイ虫というこの昆虫は
どんぐりを作る樫の大木や楢の大木に穴を開け
繁殖する菌類を餌としているのですが 
穴をあけられた木は枯れてしまうそうです。

・・・ゆえに 山の中でどんぐりに養われて生きている
動物たちにとっては死活問題。

楢が枯れてどんぐりが実らないと森の生態系は大打撃を受けます。

実際に今年は熊の出没が多く目撃され
山手に住む子供たちには ランドセルに熊よけの鈴を付けて歩くように
指導されています。

ナラ枯れの現象は度々見られたそうですが
今まではそれほど大きな被害は起きていません。

なぜなら 昭和中ごろまでは大径木となる前に 
炭を焼いたり、まきを作るために伐採してしまうので
カシノナガキクイ虫が多くは繁殖しないというのがこれまでの摂理。

ただ、現在では燃料としての需要は低下し 
さらに森林を管理するものも手薄になり、
里山はほったらかしになってしまいました。

今回のナラ枯れは山々の木が一斉に高齢化したため、
被害が急拡大したとみられています。

日本の動植物は長い時間をかけ、
人間と共存する生活スタイルを築き上げてきたのだけれど、
人の手が入らなくなったことで、
絶滅の危機にひんしている樹種もあるそうです。

今年のナラ枯れは 全てを人間中心に変えてきた
自然環境のつけが回ってきたのかもしれません。

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