今まさに山里の味覚、飛騨路の夏秋の旬味として
当館の献立でも飛騨牛と双璧をなす?『鮎』。
この辺りは清流育ちの故か、腸の苦味も嫌味がなく
シンプルに塩を振っただけの“塩焼き”をそのまま頂くのが専ら至上です。
ところが先日、或るお客様に
「蓼(たで)酢はないの?」とのリクエスト。
在郷して早15年。
そういえば修業時代の金沢で供していた、そして京都などで頂く鮎の塩焼きには
ほぼ“蓼酢”が脇に控えておりました。
その記憶も手伝って、頂いたその一言を早速
料理長に相談して“蓼酢”も用意してもらうことにしました。
『蓼』はどこにでも生えている雑草の部類で
表題の諺?通り、それ単体は噛むと大変苦味走っています。
(料理長にからかわれて数名の接客係が餌食になったようです)
それを擂り潰して酢と水で合わせる“蓼酢”。
それもそれだけでは、ただ単に青臭い酢、といった感じ。
ところがところが、これを鮎の苦味とハーモナイズさせると
不思議やフシギ・・・・・
上品でマイルドなテイストに様変わりしてしまうのです。
そのまま野趣味を楽しむも良し、蓼酢との1+1=3の協和音に舌鼓を打つも良し。
一言お尋ねいただいたお客様のお蔭で
すっかり「井の中の蛙」常識に陥っていた状況の殻を破ることが出来ました。
感謝感謝です。