昨日、市内宮川町(旧宮川村)の打保(うつぼ)にある
堀水産さんへ遊び?に行ってきました。
市内とは云っても当館からは車で30分以上掛かる“山奥”で
翻っていえば“大自然に抱かれた清らかな流れ”の中にある
深呼吸したくなる場所にあります。
この堀さんは『限りなく』自然に近い環境で
岩魚とあまごを育てていらっしゃっていて
その“作品”もさることながら、そのお人柄がとても穏やかで素敵な方です。
元々は名古屋の生まれで東京水産大学の増殖科をご卒業され
飛騨の豊かな自然に惹かれて、早30年。
ご自分の目指す“魚育て”を実践するために6年前に奥様と息子さんの三人で
独立されたそうです。
当館とのご縁は、飛騨の野村万斎こと4月入社のフロントの畠中君が同級生の誼で
しばらく手伝っていた、、というところに端を発します。
あまご約30万尾と岩魚約15万尾がいるそうですが
この規模でも業界では中堅程度とのこと。
「これはモノがいい!」と金山総料理長と主人が仕入先として決めてから約2ヶ月。
そのジャッジ通り、余りにもお客様に評判がよいので
他とは何がどう違うのか?を見極めるために出掛けてきた次第です。
見渡す限りの自然環境と、さすが名門水産大学(今は統合されて東京海洋大学だそうです)ならではの知識と30年以上の知恵の結晶。
さぞかし、ウルトラなテクニックを駆使されているのかと思いきや
ご本人曰く「普通のことしかやっとらんけど。。。」
と飄々と仰います。
何かよそにはない特徴や工夫を聞き出さねばと
逸る素人記者?相手にこんなことを教えてくれました。
通常の漁場さんの多くは稚魚を買ってきて大きくするらしいのですが
堀さんは、自家受精か
全幅の信頼を置く三重の漁師さんから分けて頂く卵(天然モノを釣ってきたその卵)
しか使わないとのこと。
また病気予防や治療、感染防止のために使われることがある
“抗生物質”の使用は一切せず
病気を出さないよう(今人間界でも流行の“予防医学”でしょうか)
餌にニンニクなどの栄養価の高いものを混ぜて与えたりしているそうです。
この病気を出さないように。。。というのが案外難しいようで
少しでも気を抜くと、あっという間に“負”の結果が出るとのこと。
それには何より、いとおしみ、慈しみ、足繁く運び、見回り、世話をして愛情をかけること。
このことに尽きるそうです。
口で言うには一言ですが、そのためには一年365日。
一日も休み無く世話をし、台風の折などは徹夜の番までし
勿論泊りがけの家族旅行などはもってのほかで
昼夜問わず“お魚さん”達のことを考えているそうです。
私達旅館の仕事も、世間一般では“大変な仕事ですね”といわれますが
こんなことをサラッとお話される堀さんの少し深い笑い皺(しわ)には
比ぶべきも無いと敬服することしきりでした。
こんな素敵な方達に分けて頂く“食材たち”に支えられて
皆様に“飛騨の味”をご提供できることに、この上ない幸せを
今更ながら噛み締めることの出来た小昼のひとときでした。